転職をしたものの失敗した。こんなはずじゃなかった、話が違うと感じている方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。あるいは、転職を考えているが、失敗して今より悪い状況になったらどうしようと不安に感じている方もいらっしゃるかも知れません。
転職の失敗には共通したパターンがあり、また成功にはそのコツがあります。
この記事でわかること
【この記事を書いた人】
私は外資系企業の人事部門で責任者として勤務をしています。自身も日系・外資系の両社で幾度かの転職を経験しているので、転職者が何に苦労しているか、採用者は何を求めているかがよくわかります。転職は採用されることがスタートであり、新天地で満足して働いていることがゴールです。それまでの活動はそこに至るまでの過程でしかありません。そうであれば、その過程は効果的かつ効率的に進めることがベストです。この記事では、よくある転職の失敗事例を踏まえ、成功する転職への指針を示しています。
転職 典型的な3つの失敗事例
転職が失敗だと感じるケースには様々なものがありますが、最終的には次の3点に集約されます。言い換えれば、この3つに注意をすれば転職成功の確率は高くなります。
転職失敗事例は仕事内容・社風・人間関係に集約されます。
思っていた仕事内容と違う
入社してみると、事前に聞いていた仕事内容と違う、話が違うと感じることがありあます。それは、主に次の2つが原因で起こります。
1. 採用企業と候補者とのミスコミュニケーション
採用企業が想定しいる仕事内を、候補者が十分に理解していなかった。あるいは誤解していた。
応募前によく調べて理解し、面接でも躊躇せずに質問・確認することで防ぐことができます。
面接官としての私の経験からも、自分が応募しているポジションの仕事内容を理解していない人は少なくありません。取り合えず応募をしたというのが本当のところだと思います。面接で仕事内容を詳細に聞くことも気が引けるので、結局曖昧さを残したまま面接を終わることになります。
2. 候補者自身が自分のやりたい仕事を詳細にわかっていない
転職をしたいが、自分が何を求めているかを明確にわかっていない人も少なくありません。
これは転職動機や転職準備につながることですが、なぜ転職したいのか、なぜ応募したのかを自分の中で明確にしておく必要があります。
ブラック企業だった
ブラック企業とは、明確な定義はないものの、法令遵守の意識が低く、長時間労働、サービス残業、パワハラなどが横行している会社です。
ブラック企業は、すでに離職していて失業状態にあるとき、転職活動がうまく行かずどこからも採用通知が来ないときなどに入社してしまうことがよくあります。とにかく就職しなければならないという焦りが判断を狂わせます。
厚生労働省が法令違反をした企業名を公表しているので、事前にそれを確認することも対応策の一つです。また、求人票の条件が好条件過ぎる、頻繁に後任募集を行っている企業も要注意です。
この点、優良な転職エージェント経由であれば、ブラック企業を紹介されることはまずないので、転職エージェントを利用することは有効な選択肢の一つです。
ブラック企業の見分け方については次の記事を参考にしてください。
人間関係・社風が合わない
転職してみると、人間関係や社風が合わないと感じることは少なくありません。
人間関係や社風が合わないことを理由とする転職は多いので、ジョブホッパーにならないように入社前にできる限り確認をする必要があります。
とは言え、同じ会社であっても、部署によって人間関係やカルチャーが異なることもあるので、実際のところは働いてみないとわからないというのが実情です。
転職についての(元)社員の口コミサイトや、その会社をよく知っている転職エージェントからの情報収集により、あなたに合う会社か事前に確認することも可能です。
成功する転職者は事前に何を考えどんな行動を取っているのか?
多くの人に取って、転職は人生の重要な決断だと思います。転職して良かったと考えている人は、転職を決める前に下記5点を自分の中で明確にしています。
転職活動前に明確にする5つのポイント
- なぜ転職をする必要があるのか、転職意図を明確にしている
- 3つの転職条件を明確にしている(仕事内容・給与・勤務地)
- 在職中に転職先を決定する
- 状況によっては転職を中断する
- 転職活動を行う手段を明確にしている
転職活動に重要な5つのポイント。
1) 転職意図 2) 条件 3) 在職中転職 4) 現職に残る選択 5) 転職手段
1. なぜ転職をする必要があるのか、転職意図を明確にしている
転職意図が不明確であると、転職後に後悔する可能性が高くなります。どこに行っても不満ということにもなりかねません。すべての条件を満たす転職先はないので、あなたに取って最も重要なもの、譲れないものをはっきりさせておくことが成功のカギです。
例えば、下記2つの転職理由(キャリアアップかワークライフバランスか)を比較してみて、あなたはどちらかを考えてみてください。この2つは、実際の採用面接でも候補者がよく口にする転職理由です。
キャリアップ
仕事の質、レベル、能力を向上させるために、新たな挑戦によってキャリアップアップを計りたい。
これが理由なのであれば、どんなキャリアパスを考えているのか、目指しているキャリアはどのようなものなのかを明確にしてください。
具体的には、あなたの目指すキャリアを短期・中期・長期で書き出してください。その過程を通じて、なぜ転職するのか、どのような会社に転職すべきなのか、あるいは現職に留まった方がいいのかというとが明らかになります。
ワークライフバランス
長時間労働が常態化していて心身が疲弊しているため、体を壊す前に今の会社を辞めたい。あるいは、家族との時間をもっと取りたいため、ワークライフバランスが充実している会社に転職をしたい。
これがメインの理由なのであれば、応募条件も自ずとそれに合うものになります。
これが十分に満たされるのであれば、給与など他の要件は妥協できるかも知れません。
3つの転職条件を明確にしている
一般的に、下記3点(仕事内容・給与・勤務地)が転職にとって重要な要素となります。
求人票を見る場合や、エージェントや知人から仕事を紹介してもらうような場合にも、下記3点(仕事内容・給与・勤務地)が 希望通りか、あるいは妥協できる範囲内かを明確にしておくと、失敗したと感じることは減少します。
仕事内容、給与、勤務地を明確に
仕事内容
どんな仕事がしたいのかを明確にします。思い通りの仕事に就くことは簡単ではありませんが、キャリアパスは考えておく必要があります。短期、中期、長期の観点からあなたのやりたい仕事を考えます。これによってキャリアの全体像が把握でき、今やるべき仕事が明確になります。
給与
受け入れることができる最低希望給与をはっきりとさせるとともに、中期・長期を考えたときの給与もあなたの中で明確にして置きます。
勤務地
現在のあなたの状況(家庭環境、仕事の経験値、スキルなど)を鑑みて、希望勤務地を限定すべきなのか転居も視野にいれるのかを明確にします。一般的に都市部は激戦区であり、地方は比較的競争が緩やかです。
在職中に転職先を決定する
諸事情によって離職後に転職活動をせざる得ないこともありますが、在職中に転職先を決定する方がベターです。無職の状態だと、就職先を見つけることが最優先されることになります。その結果、妥協した転職となり、薄々わかってはいたものの、転職後に失敗したと後悔することになりかねません。
状況によっては転職を中断する
採用は水ものだと言われることがよくあります。企業の採用ポジションの空き状況と転職活動のタイミングがうまく合えば、満足度の高い転職が可能です。あなたの転職意図をよく考えて、妥協せずに満足いくポジションが出るまで待つという選択肢も失敗しない転職の方法の一つです。
転職活動を行う手段を明確にしている
転職活動は下記1~5のような方法があります。これらすべてを並行して利用することも考えられますが、失敗しない転職のためには「転職エージェント」「転職サイト」を利用することをお勧めします。
- 転職エージェント
- 転職サイト
- 企業のホームページ
- ハローワーク
- 知人の紹介
失敗しないためには、なぜ転職エージェントがいいのか
転職エージェントとは、転職を検討している求職者と採用を考えている求人企業の仲介役を担い、求職者・企業双方にとって成功する転職を支援するサービスです。
転職サイトは、サイト掲載されている求人に自分で応募する点で転職エージエントと異なります。ただ、転職サイトに登録して職務経歴を公開にしておけば、応募しなくても転職エージエントからスカウトが来ます。そのため、転職エージエントと転職サイトの両方に登録することがベターであり、エージエントとサイトを区別して考える実益はあまりありません。
転職エージンを使う5つのメリット
転職エージェントのメリット
非公開求人がある。強み・弱み・市場価値がわかる。完全無料
非公開求人を多数保有している
転職エージェントを利用する最も大きなメリットが非公開求人です。企業は必ずしも大々的に求人募集をしているわけではありません。エージエント2~3社に絞って求人を依頼することがよくあるため、そこのエージェントを通さない限りその求人を知ることも応募することもできません。
求職者は無料でサービスを受けることができる
エージェントは企業からの報酬受けるビジネスモデルなので、求職者はすべてのサービスを無料で受けることができます。また応募先企業の詳細な情報も入手でき、直接聞きにくいことはエージェント経由で確認することができます。
あなたのキャリアの棚卸や強み・弱みが認識できる
担当コンサルタントとのミーティングや指導を通じて、あなた自身も気が付かなかった強みや弱み、キャリアの再認識ができます。これによって、やりたい仕事や入社したい会社も明確になって行きます。
あなたの転職市場での価値がわかる
どのような会社を紹介されるのか。またどのような会社の書類選考や面接を通過するかなどの経験を通じて自身の現実の市場価値が把握できます。
職務経歴書の書き方や面接指導などのサービスを受けることができる
採用企業が最初の書類選考にかける時間は、おおよそ5分~10分程度と言われています。まずは職務経歴書にざっと目を通して最低限必要なスキル、経験などを満たしているかを確認します。第一関門を通過するためには、効果的な職務経歴書を作成する必要があります。
転職エージンを使う3つのデメリット
転職エージェントのデメリット
担当コンサルに左右されるところが大きい
担当コンサルタントによってサービスの質が変わる
担当コンサルタントが誰であっても、一定の決められたサービスは受けることはできますが、場合によっては親身でないとか経験不足・能力不足と感じることがあります。
どこの会社かよりもコンサルタントが誰かの方が重要です。この点、エージェントの利用が初めてで信頼できるコンサルタントがわからない場合は、複数のエージェントを利用することによってカバーすることがいいでしょう。
紹介された求人が希望に合致しない場合でも断り辛い
選択権は利用者にあるので、応募を断ることは自由です。ただ、お世話になっている担当コンサルタントだと心情的に断り辛く、取り合えず応募するという事態もあり得ます。あなたの転職意図・要件を曖昧にすると転職失敗の可能性が高くなるので注意が必要です。
一定期間経過すると案件の紹介がなくなる、あるいは激減する
転職エージェントは、企業から求人スペックに合った求職者の紹介を要求されているため、一通りの案件を紹介したあとは紹介がなくなることがあります。つまり、その転職エージェントには、あなたに合致する求人案件が現状ではなくなったということです。
これを避けるためには、転職エージェントは1社だけではなく、複数に登録する必要があります。
転職エージェント利用の注意点
転職エージェントは効果的かつ効率的な転職手段ですが、次の2点に留意をしてください。
転職にあたっての自身の希望、重要ポイントを明確に伝える。
エージェントは希望に合致した案件を探す努力をしてくれますので、ここがぶれると双方に取って非効率な転職活動になります。最低でも、転職意図と3つの転職条件(仕事内容、給与、勤務地)は必ず明確に伝えるようにしましょう。
エージェントの特徴や得意分野を理解する。
ある人に取ってベストな転職エージェントが、あなたに取ってもベストだとは限りません。
エージェントによって、主たる対象者がマネージャーやエグゼクティブクラスのところもあれば、20代の若手のところもあります。
対象外のエージェントに登録をしても、仕事の紹介は殆どありません。あなたに合ったエージエントを選択することは重要な対策の一つです。
転職エージェントの選択は転職の成功を左右するほど重要
転職エージェントの選択については下記の記事を参考にしてください。
まとめ:失敗しない転職の要点
- 転職意図を明確にする
- 3つの転職要件を明確にする(仕事内容・給与・勤務地)
- 短期・中期・長期でキャリアを考える
- 状況によっては転職中断も視野にいれる
- 自分に合った転職エージェントを利用する
これら5点を踏まえることによって、転職で失敗したと感じることはかなり減少します。
転職直後は思い通りの仕事ではないとしても、それは長いキャリアの一つの過程でありまたその時点での最良の選択となっているはずです。
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